事例別の費用と融資額の目安 〜サラリーマン投資家編〜
不動産投資には資金が必要です。サラリーマン投資家の場合、金融機関からどのくらい融資を受けることができるのか、そしてどのくらいのレベルの物件を購入できるのかについて、金融市場の歴史的背景を踏まえてご説明いたします。

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サラリーマン投資家は銀行からどのくらい借りれる?

一般的に融資額(銀行から借入可能な額)は、その方の年収に大きく依存します。日本の投資金融機関は、いま現在で言うと下限はおおよそ年収500万円〜の方でもターゲットにしていますので、その年収以上であれば融資してもらえる可能性があるということになります。

逆にそれ以下の年収になると非常に厳しいのが現状です。(共働きの場合は世帯収入でお考え下さい)

では、実際にどのくらいの金額を借りることが可能かについてですが、もちろん金融機関にもよるのですが、融資総額は年収の最大12倍くらいまで貸してもらえるところもあります。

この最低年収基準や融資総額の基準については、近年の金融マーケット市場の動向によって激変してきた経緯がありますので、その歴史的背景をここで少しだけ説明しておきましょう。

この10年で、最低年収基準や融資総額の基準はこう変わった!

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おおよそ2006年以前までは、投資向けアパートローンに参入している金融機関は実は数行程度で、地方の金融機関は地元の富裕層や相続対策上の案件しか取り組みをしていなかったという背景があります。

このため、取得額の20%は自己資金でまかない、年収倍率も7倍程度になっており、今よりも敷居が高い銀行主導のマーケットであったわけです。

しかし、2006年以降、特にリーマンショック後、金融マーケットは激変していくこととなります。円高や経済状況による運用難で、金融機関はリテール融資(個人の住宅ローンなどの小口融資)への方向転換を迫られることになり、ホールセール融資(大手企業など大口の顧客に対する融資)に比べて、金利収入も大きくマーケットもかなり大きいことから、一気にリテールへの資金流入が始まります。

先ずはメガバンクが個人住宅ローンマーケットへの参入を表明。これに地方銀行も追随し、融資基準を大きく緩和し顧客囲い込みが激化していきます。当然最後はレート競争となり、これが金融機関の収益状況が大きく悪化する要因ともなっていくわけです。

そして地銀再編が始まる中、第二地銀や小規模銀行は生き残りをかけて、投資マーケットへの参入を決断していくことになり、ここから高レート・高収益マーケットで守られていた投資市場が大きく変化していきます。

ここまでがおおよそ2009年くらいまでの話です。それ以降、最低年収基準はもともと700万円ほどが相場だったのが、500万円程度まで下がり、融資総額も年収の7倍から12倍程度まで緩和されてきたというのが歴史的背景です。

つまりほんの10年前までは一部の高所得者層しかできなかった不動産投資ですが、今では年収500万円のサラリーマンでもアパート経営をはじめることができるということで、市場的には投資家にとって有利に働いているチャンスの時期と言えます。

融資額を決める際に、金融機関が気にする返済比率とは?

返済比率というのは、年収における1年間の返済額の割合のことを言います。正確な式で言うと、

返済比率 = 1年間の元利均等返済額 ÷ 税込年収額 x 100

となります。

例えば、税込年収 600万円のサラリーマンの方が、不動産を購入し、その分の借入の返済額が月に15万円だったとすると、年間の返済額は、15万円 x 12ヶ月で、180万円となりますので、

返済比率 = 180万円 ÷ 600万円 x 100 = 30%
ということになります。

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さて、この返済比率ですが、最大どのくらいの割合になるまでの額を融資するかどうかの指標になるのですが、近年の情勢変化により金融機関側としては、40%くらいまで緩和されているというのが実情です。

一般的にお客様がある程度安心して返済し続けることのできる妥当な数値としては、35%程度と言われております。(ただし、年収によって安全だと判断される返済比率は変わってきます)

ご自身の税込年収と、購入物件の金額、預貯金の金額などから、どのくらいの金額を借りれそうかの判断にお使いいただけるかと思います。

年収別に購入できる物件の金額と傾向、注意点など

金融マーケットの歴史的背景から、借入可能な金額の目安などがわかったところで、実際にどのくらいの年収の人がどのくらいの金額の物件を購入しているか、どのような点に注意しておくべきかを簡単にご紹介します。

[具体例1]

年収500万〜600万円あたりのサラリーマンの方の場合、銀行からの借入が可能であれば、3000万円〜6000万円くらいの物件を購入されることが多いです。

ただし、検討するにあたり、立地条件・賃貸状況に問題がないことを確認することが重要です。

[具体例2]
年収800万円以上のサラリーマンの場合、1億円程度まで借入することが可能なことも少なくありません。(公務員、上場企業勤務であればさらに緩和される傾向があります)。

この場合、駅近物件などの比較的立地良好な物件も検討可能となります。